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冬深まり、色失せる山奥。
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初めての桃と最後の桃
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桃のようで、桃ではなく、でも桃。(どっちだ)






8月の終わり、新幹線で長野に降り立ったその日。駅まで迎えに来てもらったその足で近くの大型スーパーに買い物に行ったら、食料品売り場に入ったところに、ありえないほどの量の桃が積まれていました。その積まれっぷりときたら、ダイエーあたりで本日特売のトイレットペーパーが100個限定で並んでいるような(ひどいたとえですいません)。
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小さな八百屋なら、その店先が全部埋まるんじゃないかというほどの量がコンテナに入ってうず高く積まれたそれを見た瞬間、わたしの頭に浮かんだのは「黄桃だ!」。黄桃は黄桃でも、アメリカで見るような黄桃。遠目になんとなく見た目が似ていたのです。

文字通り駆け寄って、そこに貼ってあったポスターに書かれていたのは「ワッサー」という文字。ワッサー?なんじゃそりゃ??初めて聞く名前を不思議に思いつつ説明を読んでみると、なんのことはない、桃(白桃)とネクタリンの交配種とのこと。桃よりも身がしまっていて食べやすい、みたいなことが書いてあって、なるほどねーと。東京でもうちの近所では見たことはないし、母も初めて見たというし、これは今が買いどきだ、とばかりに5~6個ずつ袋に詰められたそのワッサーとやらを、母に呆れられながら3袋(!)買い込んだのでした。ほくほくと。

で、その一部が上のカゴ盛りなのでした。(もっとあった)
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小ぶりなのもありましたが、大きいのは普通の桃くらい大きい。上の写真は手前からワッサー、白桃、黄桃(黄金桃)、ネクタリン(特大)。

さて、日本では今でも、生の桃といえばまずは白桃を思い浮かべますね。昔は缶詰でしか見たことがなかった黄桃は、近年でこそ黄金桃などといった品種が生食用に出回っていますが、これらも元は白桃との交配種のようなので、欧米で一般的に食されている黄桃と比べると、食感も味も白桃にかなり近いと思います。アメリカなどで買える黄桃は、日本人の感覚だとそのまま食べるには硬すぎるのですね(たまに例外もありますが)。火を入れてお菓子にしたほうがおいしいのではないかと思います。

話がそれたようですが、そんなわけで、ワッサー。桃とネクタリンが一緒になったのね~、じゃあ桃のお菓子とネクタリンのお菓子、どっちを作ろう…なんて思いながら、とりあえずはそのまま、生で食べてみようと思ったわけです。桃もネクタリンも大好きなので、わくわくと。
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かなりしっかりした身を切ってみると、黄色い身に赤が散ってる感じ。ええ、確かに桃とネクタリンですな。ネットで調べていたら、もっと一面、真っ黄色だったんですけどね。種類が違うのか、個体差なのか。

して、かなり期待しまくって食べたひと口目の感想は、




   …か、かたい。。。



まだ未熟なのか?でも身がガチガチに締まっているわけでもないし、、でもガリっというか、ザリっというか、、とにかく硬かったのです。味は、甘いというよりちょっとすっぱい。白桃は甘いので、ネクタリンの酸味なのか?ネクタリンってこんなにすっぱかったっけ?(※ちなみにその後、上の写真にも出した特大ネクタリン、樹でゆっくり完熟させました!というのを買ったのに、えらいすっぱかったのです。ネクタリンってこんなにすっぱかったのですね、、 遠い目)。

ともかく、ネクタリンのように身のしまった甘い桃、というのを想像していたので、しょーーーーーじきなところ、ちょっと期待はずれでした。。やっぱ3袋は多すぎだったかなぁ、、売り場で3袋カゴに入れて、その後1袋戻そうかどうしようか迷って結局3袋買ってきたんだけどなぁ、、といろんな思いが頭をよぎる。
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それでも、切ってしまったのでとりあえず残りをもぐもぐ食べながら、ふと思い当たったこと。それは、、、これって白桃よりもネクタリンよりも、どっちかってーとアメリカ(ヨーロッパも)で食べる黄桃じゃないか??ということ。身の硬さといい、甘さ控えめかげんといい、そういえばこの黄色に赤~ピンクが混ざったような皮の色も、まさにアメリカで食べてた黄桃じゃないかと。(※日本の黄金桃は皮も一面、薄い黄色ですが、あちらの黄桃は皮はもっと濃い黄色に赤みが入っているのです。)あらゆる意味で、日本の黄金桃よりもこちらのほうが黄桃っぽい。

そう思ったら、がぜんまたやる気(?)が出てきました。日本の桃だと思って食べるからいけないのです。(買ったうち数個を母のほうにも分けてあげたのですが、あとで聞いたらやはり「ふつうの桃のほうがおいしい…」と言っていたし。)これは、生食じゃなくて焼き菓子向きだなー、と。火を通しても、日本の桃よりも型崩れしなくていいじゃないかと。


機嫌が直った(?)ところで、いそいそと加工開始。まずは、
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…っていきなり焼き菓子じゃありませんが、、、。これは、皮をむいた桃(ワッサー)を、カルダモンと一緒に白ワインに漬け、数日間置いたら漉して桃とスパイスの香りがついたワインにはちみつとウォッカを混ぜる飲み物。を、作り始めたところ。

ここまで読んで、おや、これは…?と思われた方がもしもいたらびっくりですが、、これはかれこれ4年前にハワイで作ったことがあるものです。作る過程については当時の記事で詳しく書いていますが、レシピはこちら。毎年、夏になるとこのレシピを思い出しては、また作ってみたいと思っていたのですが、夏は満員の冷蔵庫に、ワインに漬けた桃を何日も置くスペースがなくて見送っていたのでした。今年は長野で冷蔵庫にもう少し余裕があるので、よし、と実行。そもそも、実はワッサーを大量に買ったのも、これを作ろうと思ったから、というのもあったのです。

前回と違うのは、えーまずはワッサーを使ったところ。本来は黄桃を使うのだと思うのですが、前回はイマイチな白桃で作ってしまったので、それを考えると今回のほうがオリジナルに近いのではないかと推測。それから、カルダモンのほかにご覧の通りローズマリーも入れてみました。なんとなく。なので、レシピの名前もPeach, Honey, Cardamom, and Rosemary Wine Cordialでしょうか(長すぎ)。
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桃が長野産ならば使ったワインも長野製。ついでにいうと、この後加えるはちみつも長野産(最近お気に入りのりんごのはちみつ)。ローズマリーも地元のですが、、カルダモンとウォッカは違いますね、さすがに。

ちなみに、本来はボトル1本分ワインを使うのですが、だいたい3分の2くらいで作成。ちなみに、写真撮影用にこんな瓶に入れてみましたが、本当はもっと量があって、撮影後にもっと大きいけどさえない容器(?)に移し変えて、1日常温で置いたあとは冷蔵庫で4日間眠っていただくのでした。というわけで、続きはのちほど。


で、焼き菓子です。
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最初に作ったのは、ヨーグルトケーキ。こんなやつです。ぐるぐる混ぜるだけの簡単生地に、薄切りのワッサーを並べて薄いケーキに焼き上げるだけ。簡単簡単。
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…なんですが、これは外出直前に焼いていたせいもあり、ちょっと焼きが甘かったのです。なので、ケーキとしてはちょっと、というか結構、いまいち。

次~。
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微妙に似たようなケーキですが、、生地は全然違うのです。こちらは卵黄なし、卵白のみの生地。ナッツの粉末も入りますが、全体的にふわっとした仕上がりです。ちなみにレシピは、もとはというとプルーンのお菓子のレシピを探していて見つけたものなんですけどね、、桃でもいけるんじゃないかと。生地に入れるナッツは、ヘーゼルナッツもあったのですが、そろそろ使いきりたいアーモンドパウダーがあったのでそちらを。

焼きあがり、少しさましたところで、いそいそと。
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アイスクリームを添えて。はい、この夏の超個人的アイスクリーム(&シャーベット)ブームは細々とどころか脈々と続いています。今回のケーキにあわせて作ったこちらは、マーブル模様のつもりが全然マーブル模様にならなかったネクタリンのアイス。ネクタリンを皮ごと甘く煮てピュレにしたものを、バニラアイスに混ぜ込んでいます。レシピはこちらのセミフレッドを参考に。…はい、これもプルーン向けのレシピを探していて見つけたものでした。レシピだけは大量に集めているのですよ。(汗)。

それにしても、元のレシピではプラムを使うことになっていて、ここではネクタリンを使ったのですが、できたピュレを味見してみたら、えっっっらいすっぱくて、、、それこそプラムのようでした(汗)。甘いバニラアイスに混ぜたらちょうどよかったんですけどね。上にもちらっと書きましたが、大きくてりっぱな、よく熟れたネクタリンを買ったのに、すごいすっぱかったのです。ネクタリンってもうちょっと甘かった気がするんだけどなぁ、、と。桃に関しては、絶対!日本のがいちばんおいしいと思うけれど、ネクタリンはもしかしたらアメリカやヨーロッパで食べたののほうが甘くておいしかったかもしれません。何回か書いてますが、オーストラリアではまったホワイトネクタリン(果肉が白桃のように白い)なんて特に。日本でも出ないかなー、ホワイトネクタリン。
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・・・また話がそれましたが。ときに、ほんとはアイスもワッサーで作る予定だったんですが、実はこの頃にはもう全部なくなっていたのです(!)。このケーキ本体に使ったのが最後。あんなに大量にあったのに、、、ワインに使ったと言ってもせいぜい数個だし、ケーキは2種類しか作ってないし。残りはいったいどこに行ったのかのは謎なのですが(汗)。実のところ、いろいろ作ろうと思っていちどに桃を買い込んだあとは、しばらく何も作る余裕がなくて、気づいたら一部傷みはじめてきたので、結局そのまま慌てて食べたのが結構ありました。その後、近所のスーパーでも1回みかけて、買おうかと思ったのですが、そのときはまだ最初に買った分が大量に残っていたので、母にも「え~今はやめといたら?」と言われ、それはそうだと思ってやめたのです。結局、それがワッサーを見た最後になったのでした(悲)。

ちなみに、傷む寸前くらいの熟れ熟れワッサー、そのまま食べたらすごいおいしかった!のです。うーん、かなり極限まで熟らさすべきなのですかね。というわけで、来年以降、また見かけたら、また懲りずに買います、ワッサー。


…で、あれ。
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桃を漬けたワイン、準備してから5日後。ピンクがかったオレンジの、やさしい色になりました。

じつは前回、4年前に白桃で作ったときには、最後まで全然ワインに色がつかなかったのです。でも、レシピの写真を見ると、きれいな色がついています。まさに、今回はそんな色になりました。桃の皮は剥いて入れるし、剥いた面はオレンジがかった黄色なのですが、種に近い部分の赤みがワインに移る??のでしょうか。それとも何かの反応なのか。とにかく、かわいい色。
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はちみつとウォッカを入れて冷やしたら、そのままストレートでいただきます。前回もそうでしたが、出来上がりの味は、桃というよりははちみつの味。桃は香り(と色)づけですね。でも、カルダモンとローズマリーのさわやかな香りと、桃とはちみつの甘い香りがあいまって、おいしくできました。うん、前回より成功かも。

さて、ストレートで飲むのもいいんですが、最近めっきり酒を飲みつけていないわたしは(※ほんとですって)、この程度でもあまり量が飲めない。
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というわけで、炭酸入りのミネラルウォーターで割ってみました。…色といい味といい、ちょっと水が多すぎたかな??でも、これはこれで、西日が傾き始めた頃に飲んだら合うかなぁと。色もそんな色ですしね。
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そういえば、日が落ちるのもずいぶん早くなってきました。


・・・と、西日を背景に感慨にふけっていたのがもう1週間以上前。最後のワッサーを見たのはそれよりさらに前。でも、そのあとも桃は買っていて、買い物に行くたびに桃売り場のスペースが小さくなるのを見ながら、買った桃をしつこく取っておいたりしていましたが、そろそろいいかげん食べないと、という感じに。そこで、名残惜しみつつも、最後の桃を一気に使いきり。
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白桃、黄桃、ネクタリンを切ってアイスクリームを載せただけ。でも、アイスクリームも桃入りなのです。レシピは、Moosewood Restaurant Book of Desserts (Three Rivers Press, 1997) より。先日、バブカを作ったときに使った本で、取っておいたレシピをまた眺めていたらEasiest Peach Ice Creamというのがあったのでした。桃のピュレと桃ジュースを砂糖などと一緒に生クリームにあわせるだけ。卵も使わないし、まさに簡単レシピです。

が、これを作るとき、桃ジュースがなかったので、その分をネクタリンのピュレで代えて作成。出来上がりは、アイスクリームとしては結構さっぱりめで、スプーンが進む(?)危険な味でした。
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気づけばもう9月も下旬。そりゃあ桃も終わるはずですね。あー、1週間過ぎるのが本当にはやいです。


それにしても、山に来ている間はいっっっつも同じような構図に同じような背景のワンパターンな写真ばかりですね(大汗)。まだブログに載せていない写真でも、同じようなのを量産しています。きっと今後もそうでしょう…。日々の作業をしながら窓越しに見える緑をおすそ分けさせていただいているものと寛大に見守っていただければ幸いです。
by zo.chika | 2008-09-20 23:15 | 一日一膳