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冬深まり、色失せる山奥。
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パリ、東京、長野 (後編)
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芸術の秋、始まりは好調だったんですけどねえ。


パリ、東京、長野 (前編) の続きです。 こちらを先にどうぞ。






そして、長野から東京へ。
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10月半ば、紅葉の始まっていた長野から、まだ夏の名残のような暖かさの残る東京へ。


紅玉りんごの販売の忙しいさなかに無理して東京に戻った理由はいくつかあったのですが、ひとつには行きたい写真展があったから。当時、多くのブログで見かけていたのですが、フランスの写真家Robert Doisneau の写真展があったのです。それなりの規模の展示だったのに、開催期間が短くて、、、どうにか最終日に間に合わせて行ってきました。


世界的に有名な写真家であるドアノーはもちろん日本でも相当な人気のようで、展示最終日かつ週末ということもあって会場はかなり混みあっており、ゆっくり写真をみるという感じではなかったのですが、それでも展示内容は結構充実していて見応えがありました。


さて、世界的に有名な…なんて書きましたが、わたしがドアノーの名前を認識したのは、ついここ2、3年前くらいです(汗)。もちろん、彼の作品はそれまでも多く目にはしていて、4年前にこんな写真を撮ったときに頭にあったのも、その何年も前にパリで買った絵葉書にあった、ドアノーの作品でした。
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パリ ノートルダム大聖堂より街を望む 2004年4月


本物はあまりに有名なので、ご覧になったことがある方もきっと多いと思います。でも、今となってはわざわざ言うのも恥ずかしいですが、この写真を撮った当時は、その作品の撮影者がロベール・ドアノーという著名な写真家であることすら知らなかったのです。知らないというのは恐ろしいものです。。 歯もずれてるし。。。


…そんなわたしの無知はさておき。展示会場に入るなりヴァンドーム広場、ルーブルのモナリザ(を鑑賞する人々)など、パリの名物、名所の写真が次々と現れ、そのひとつが、ぎっしりと車が並んだ大きな道と、そこを横切る人々の写真を何枚も並べた一群の写真でした(こんな感じ)。これは、パリのコンコルド広場を撮影したもの。 の、はず ←急に弱気。


コンコルド広場といえば、先の東山魁夷の詩画集の舞台になった、まさにその場所です。
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パリ コンコルド広場 2004年4月


ドアノーが撮ったコンコルド広場の写真群は、(写真の情報が手元にないので、あいまいな記憶なのですが)確か1973年頃だったはず。つまり東山魁夷が『コンコルド広場の椅子』をかいたのと同じくらいの頃になります。


わたしも、コンコルド広場というと、現在の、昼間の車であふれた場所という印象しかなかったので、東山魁夷の本で描かれている静かさが最初はぴんときませんでした。けれども、コンコルド広場の中心はこのように交通量が多いですが、ここから西はシャンゼリゼ通りと凱旋門、東はチュイルリー庭園にルーブル美術館へと道が続いており、広場の中心をほんの少し離れれば、街路樹の下に椅子やベンチが置かれ、人々の憩いの場となっているようです。


こんなふうに、ほぼ同時期の同じ場所の、まったく違う側面を切り取った、ふたりの芸術家の作品に続けて触れる機会があったことが、個人的にはなんだか不思議に思えた出来事でした。ちなみに、ドアノーの写真でも、コンコルド広場ではありませんが、確かパリの広場の椅子を撮ったものがあった気がします。
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パリ コンコルド広場~チュイルリー庭園 2006年9月


さて、そんなことを考えながら見ていたドアノー展では、もうひとり頭にあったのは、同じくパリを代表する写真家、Henri Cartier-Bresson でした。ブレッソンの名前を認識したのも、ドアノーと同じ頃くらい(要はつい最近)ですが、東京では2年ほど前にブレッソンの写真展もありました。夏の暑いなか足を運び、食い入るように写真を眺め、その後はしばらくブレッソンの作品やインタビュー映像をネットで見あさったり、写真集も買ったし、とにかく自分にとって思い入れの強い写真家であります。


ドアノーとブレッソンを比べながら見ていたわけではないのですが、ドアノー展ではある写真の前で思わず立ち止まりました。それは、彫刻家Alberto Giacometti のポートレート。カフェのテーブルに座り、穏やかな顔つきでこちらを見ているジャコメッティの写真が撮影された場所は、(これも写真の情報がないので不確かな記憶ですが)パリの南、14区のアレジアだったように思います。


ジャコメッティとアレジアという組み合わせで思い出したのは、ブレッソンのこの写真。ブレッソンが撮影したジャコメッティの写真というと、こちらのほうが有名かもしれませんが、わたしは、雨の中、厚手のコートで頭を覆ってこちらに向かってくるジャコメッティのこの写真のほうが特に印象に残っていて、その理由のひとつは、背景に写ったパリの道路名の標識でした。通りの名前はRue d'Alesia(アレジア通り)。最初にそれに気づいたときは、あっと思いました。

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パリ サン・ピエール・ドゥ・モンルージュ教会(アレジア広場) 2006年12月


アレジアというのはパリのほぼ南端になるのですが、そのあたりは、ここ数年パリに行くとお世話になっている友人の家族が住んでおり、友人本人もけっこう近くに住んでいるので、このあたりはよくうろうろしている場所でした。(その割には、探してみたらアレジア近辺の写真は上の1枚しかありません…。 汗) 特に観光名所があるわけではないのですが、ホテルが多いらしく、地下鉄駅ではスーツケースを引いた旅行客らしき人もよく乗り降りしています。


あとで知ったのですが、ジャコメッティは晩年、アレジア通りにアトリエを構えていたそうで、だからジャコメッティを写した写真が(誰が撮影者であれ)その近くであるのは特に珍しいことでもないのかもしれません。そもそも、アレジア通りという道も長いので、ジャコメッティの写真が撮られたのが、同じアレジア通りでもわたしの知っている界隈であるという確率も高くはないでしょう。


それでも、パリの名所ではなく、パリのはずれの住宅地で、ブレッソンやドアノーが写真に残していた場所を、そうと気づかずに自分が何度も通っていたということが、わたしにとってはなんとも不思議で、嬉しいことでした。
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パリ 14区のカフェにて 2006年9月


1本の道が、わたしの尊敬する2人の写真家(そして同じく偉大な彫刻家)と自分を結んでいたと思うと、感激してしまったのです。ええ、相当に強引な結びつけ方ですけどね、、。



ドアノー展に話を戻すと(はい、まだ話は続いてました)、写真展示のほかに、本人のインタビュー音声を写真とともに流す映像展示があり、その話もなかなか興味深かったです。ブレッソン展のときも同じような展示があって、2~3編合わせて1時間くらいの展示を、冷房のきいた部屋で凍えそうになりながら全部見た覚えがあるのですが(遠い目)、おかげで貴重な話も聞けてよかったです。


…えー、ドアノー展に話を戻したそばからもう飛んでますが、、、。
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パリ シテ島にて 2006年10月


アンリ・カルティエ=ブレッソンとロベール・ドアノーの共通点が何であるか、といったことを語れるほどわたしには知識も洞察力もありませんが、2人の話を聞いて特に心に残ったのは、2人とも「待つ」写真の撮り方だということでした。ブレッソンの、「決定的瞬間」というコンセプトは有名ですが、ドアノーもまた、写真というのは待って撮るという態度のようでした(当然、どちらの場合も例外はあると思いますが)。


「待つ」とひとことで言っても、文字通り1か所にじっと立って決定的瞬間が訪れるのをひたすら待つ、というだけではない、一見して受身のようでそれにとどまらない、いろいろな要素が含まれてくると思うのです。
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パリ コンコルド広場 2006年9月


…というようなことを、昨日の晩つらつらと書いては消し書いては消し、結局、ブログ記事の文字数制限を超えてしまったのでとりあえず前半だけ公開して寝たのですが、、ひと晩寝て改めて読んでみたら、あまりに独りよがりでつまらないので(汗)消してしまいました。。。 だいたい、写真について議論するほどの知識も技術もなければ、それをうまくまとめる文才もないですからね、、、無理というものです。


写真は見るのも撮るのも好きですが、いろいろ考え出すと止まらない(かつ、まとまらない)のが難しいところです。でも、好きだからこそ考えてしまうのですけれどね。考えては撮り、撮っては考え、その繰り返し。
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パリ リュクサンブール公園 2008年6月


以上、かなりどうでもいい独り言でした。
わざわざ前後編に分けてまで書く必要があった内容なのかという点はつっこまないでください。



さーて、、、つまらない話の口直しというわけではありませんが、、ここらでまた甘いものなど。
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ドアノー展を開催していた日本橋三越では、先のバームクーヘンの店(クラブハリエ)のほかに、マカロンも買ってみました。今年の夏に、銀座三越で日本上陸したパリの老舗菓子店、Laduree (※すっごい音が出ます…)が日本橋本店にもあったのは知りませんでした。


銀座店のほうは、オープン直後の大行列が話題になっていて、わたしは少し経ってから銀座に行ったついでに立ち寄ってみたのですが、華やかな店内と、そこに入るために並ぶ、入口横の薄暗い非常階段のギャップがかなり衝撃的でした。。ちなみに日本橋店でも、持ち帰り用の買い物で少し並びました。


しかし、買ってからもうだいぶ経つので、何の味だったのかいまいち思い出せず(汗)。定番でローズとか塩バターキャラメル、あとはセドラ(柑橘類の一種)と、、、なんだったかねぇ。実はここだけの話ですが、、、マカロンは日持ち3~4日なのですが、写真撮る余裕がなくて(ってそれが理由かよ!)かなーーり経ってから食べました。簡単に紙袋に入れてもらっただけだったので、固くなったうえに香りもとんでしまっていて、ますます味がわかりませんでした(もったいない…)。


がしかし。その同じ日に、同じ日本橋三越の別の店で、もうひとつマカロンを買っていました。
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あ、もうひとつって、もうひと箱って意味ですけど。

色とりどりのマカロンが並ぶこちらは、Pierre Herme のもの。ラデュレと同じくパリの名店ですが、こちらは日本に来てからもう結構経ちますね。青山店にはたまに行くのですが、日本橋三越に店舗があるのは知りませんでした。むかーーし、銀座三越にもあったけどね。すぐなくなっちゃいましたね。


ピエール・エルメのマカロンはたまに買うけれど、こんなに思い切って大量に買ったのは初めてかも。というのも、単品販売は終了してしおり、前に食べそびれた「わさび」味が入っていたのがこのセットしかなく、しかもそれが日本橋三越限定+期間限定、かつ訪れたその日が最終日だったのです。
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それにしたって12個もどうすんじゃ、と思いつつ(しかもラデュレでも買ってるし)、久しぶりに東京に来たのでついつい。典型的なおのぼりさんの行動ですなあ…。


味は12種類全部違っていて、「ローズ、ショコラ、ヴァニーユ、カラメル、シトロン、ピスターシュ、ワサビ、モガドール、サティネ、ジャスマン、マロン抹茶、オリーヴ」とのこと。ここを見ながら、これはどれだ、、と探しつつ食べました。モガドール(パッションフルーツ風味ミルクチョコレートガナッシュ)、サティネ(オレンジとパッションフルーツのジュレ、クリームチーズのムースリーヌクリーム)、オリーブ(オリーブオイルとホワイトチョコレートガナッシュ、オリーブ片)あたりがおいしかったです。わさびは、思ってたほどわさびの味がしなかったんですよねえ。。ってそれは、日にちが経ちすぎたせいなのかもしれませんが、、、(汗)


でも!ラデュレのと違って、たとえプラスチックでも蓋つきの容器に入っていたせいか、こちらは食感などはほとんど落ちていなかったし、味もおいしかったです。でも今度はやっぱり買ったらすぐ食べようと思います…(当たり前)。
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いつかどこかでやった、ラデュレとエルメのばらマカロン対決(?)、再び。いや、今回は味以前の問題に、保存状態でラデュレの分が悪すぎますが。ってわたしのせいなんですけどね。すんません。


***



こんな感じで、短い東京滞在は写真展を見てマカロンを買ってお気に入りの器屋さんに行って、そしてパン好きの母におみやげのパンを買い込んで終わりました。当初はまる2日くらいの滞在で長野に戻るつもりでいたのですが、実は東京までの移動時にいろいろトラブルがあり、、、いちおう解決はしたのですが、どっぷり疲れてしまったので、中1日、出かけずに休む日を作ってから戻ったのでした。


今となっては東京に行ったのもずいぶん前のことに感じられます(ってずいぶん前ですかね、、実際)。長野市では、信号がたくさんあるのに驚いたと前に書きましたが、あともうひとつ、駅の近くの百貨店で買い物をしたとき、エスカレーターに乗って違和感を感じました。いや、普段、エスカレーターがあるような場所がないんですよ、ここにいると。東京の生活に復帰できるのか不安です。って引きこもりだから関係ないかもしれませんが。。。


そして、その長野市に行った頃、あんな感じだった場所は、今ではこんなになりました。
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紅葉を通りこして葉っぱがほとんど落ちてます。。。前と同じアングルで撮ろうとしたら、葉っぱが1枚も写らなかったくらい。


ちなみに、その後は元通り、芸術にはとんと縁のない生活に戻ってます、ふつーに。もう秋も終わりですしね。ここ数日、夜中にはちらほらと雪が降ったりしています。朝になると溶けてしまっているので、まだ雪景色は見ていないのですが、もう11月も終わりに近づいてきたので、ぼちぼちかもしれません。暖かい帽子も手袋もコートも持ってきてないんですけどねえ。
by zo.chika | 2008-11-22 01:23 | ひとりごと