昔からある果物の再発見。
こないだの黄色いやつに続き、今度は黒いやつです。
6月最後(から2番目?)の週末。近所の産地直売所で桑の実を発見。
桑の実(mulberry)を食べたことがある方はどれくらいいるでしょうか。わたしは信州によく来るようになったつい数年前まで、桑の実というものは知っていても実際に食べたことはありませんでした。葉が蚕の重要な餌になることから、桑の木は昔から養蚕業には欠かせない存在で、信州はもちろん日本全国に広くあったようですが、今ではもうずいぶん少なくなったのだそうですね。
このあたりでは、桑の実はまだそれなりになじみのある果物らしく、この時期になると実を取って食べるという話はちらほら聞きます。といっても、わたしは木から実を取ったことはないし、店で売っているのを見たこともありませんでした。「買って食べる果物ではない」という感じなのかもしれませんね。
それを先々週末あたりに初めて産直で見かけたので手に取っていたら、「店に出てるってことはそのへんの木の実ももう熟れてるのかもね、自分で木からとってこればいいじゃない」と言われ、よしそうしよう、と話は決まり。
その翌日か翌々日くらいに、張り切って早起きして朝っぱらから出かけてきました。目的地は家族の親戚のお宅の畑、の隅にある桑の木。
いっぱいなってる~!
未熟な白い実が熟れてだんだん赤くなっていき、黒に近い濃い紫になったら食べ頃。
まだまだ白い実もたくさんありましたが、黒いのもたくさん。はしごを持っていくのを忘れたので(汗)、手を伸ばしたり枝を抑えたりしながら、とりあえず取れるだけとってきました。
帰って量ったら約1kgありました。かさが大きいのか、もっとあるかと思いましたが。
これは収穫の一部。そうそう、葉っぱも少しとってきていました。蒸して乾かして(?)桑の葉茶にするんだそうです。
さて、採った実はもちろんそのまま食べてみたのですが、 ・・・うーん何と言うのでしょうね、野性味にあふれるというか、素朴というか、、いま日本で普通に売っている普通の(?)ベリー類に慣れていると、甘みはもちろん酸味なども弱いかなと。何というか、ちょっと野菜っぽいというか草っぽい味がする気がしました。あ、でも決して「マズイ」と言っているわけではないのですよ。甘いやつは甘いし、おやつ代わりにぽりぽり食べていると、気づくとたくさん食べているし。茎というか軸が中までくっついているので、食べるときにそこを残すと草っぽさが減って食べやすいと思われました。(もっとも、普通はそのまま全部食べると思います。)
摘みに行く前に、ネットなどでをレシピをいろいろ物色したなかで、最初に作ったのはこちら。
わたしにしてはめずらしく、、というかベリーを使うのにめずらしく、お菓子ではなくておかず(?)です。桑の実と枇杷のサラダ。
こないだのビワがまだ残ってましたので。参考にした
こちらでは、ドレッシングどころか塩もこしょうもなにも使わず、素材の味だけを楽しむように提案されていますが、わたしは軽く塩こしょうと、オリーブオイルにバルサミコ酢も少し使いました。ベリーその他の果物をサラダに入れること自体は珍しくはないのだけれど、うーむビワはやっぱり火を通したほうが好きかも、と思った次第。
さて、それ以降は普通に(?)甘いお菓子で。
まずは普通にマフィン。桑の実のレシピを探していたら、やはりそれほどメジャーな果物ではないせいなのかどうなのか、あまり試したいレシピが多く見つからなかったので、ちょっと似ているブラックベリーでも探して、それで見つけたのが
このレシピでした。生地にベリーが入り、上にクランブル状のトッピングを載せて焼きます。で、面倒だったので(汗)このトッピングをかけないで焼いたのですが、、これはあったほうがよかったなーと食べながら思いました。マフィン自体は特に変わったところはないように思ったのですが(材料を一部変えたけど)、意外に(?)とってもおいしかったです。
次はラズベリーの代わりに使ってみたもの。
・・・いや、「代わりに」ではなく「一緒に」ですね。元は
donna hay magazineの最新号(#63, 2012)にあったラズベリーとココナツのバナナブレッドというレシピに、ラズベリーとともに桑の実を入れてみました。悪くはなかったけれど、ラズベリーが酸味も甘みも(色も)はっきりしているので、ちょっと桑の実は
入れた意味がなかった 影が薄かったかも。ところでバナナブレッドってかなり久しぶりに焼いたのですが、焼いている間のいい匂いといったら!皮が黒くなるまで待ったバナナがまだ残っているのでまた作ります。
ちゃんと桑の実指定の(?)レシピも作りましたよ。
さくらんぼと桑の実のクラフティ。毎回、美しい写真にため息の出る
こちらのブログの
レシピです。ピスタチオの粉末とココナツミルクが入ったちょっと変わったレシピですが、フルーツたっぷりで、軽くさっぱりと食べられました。
同じくAranのブログからもうひとつ。
こちらのレシピで桑の実とルバーブのクラムケーキ。しっとりしたケーキ生地に、ルバーブと桑の実、そしてほろほろっと香ばしいクランブルが載ります。これ、とってもおいしかった!意外にというか、焼きたてよりも翌日のほうが味が落ち着いておいしいと思ったのですが、クランブルの部分がちょっとしけてしまうので微妙なところ。それでもおいしかったですけどね。
ちなみにAranのレシピは上のふたつとも
グルテンフリーです。よって小麦粉不使用なので、材料がやや手に入りづらい部分もあるかもしれませんが、これらはほぼ近所のスーパーで手に入る範囲で作れましたよ。
今度、ほかの果物でも作ってみようと思います。
さて、お菓子を焼く一方で、せっせと保存にもいそしんでおりました。
果物の保存=酒に漬ける! ・・・というわけではありませんが(ほんとに)、やっぱり一応漬けとこうか、というわけで(なのか?)。なんせ、
こちらで見た作り方をどうしても試してみたかったのです。これはジンを使って、ローストしたアーモンドを入れるというちょっと変わったもの。どんなふうにできるか楽しみです。
色が変わっていくところが何とも言えずきれいです。
保存といえば、こんなのも。
スパイスとバルサミコ風味のジャム、というかコンポート。
こちらでレシピを見つけたのですが、バルサミコビネガー、レモン、ローズマリー、ナツメグ、こしょうが入ります。もう、いかにもわたしの好きそうな味!てなわけでさっそく作ったものです。砂糖を一部、はちみつに変えたり、バニラビーンズを足したりして作成。おいしかった♪ 結構しっかり甘くできたので(まあジャムなので当然だけど)、今度作るときはもう少し甘さ控えめに、あとバルサミコももう少し少なくてもいいかなと思いました。
朝食のヨーグルトにかけたり
あとはバニラアイスにも最高。
ときに、このジャムを作るとき、鍋をかき混ぜながら思ったのが、桑の実は加熱しても実が潰れないなー、ということ。ベリー類は総じて大変デリケートなので壊れやすいものなのに、と思って考えてみたのが、桑の実は「軸」が実の真ん中にまでくっついているせいかなぁと。では、この「軸」を取ってしまえば、もうちょっととろとろの(そして、願わくばデリケートな味の)ジャムができるのだろうか、と。
というわけで、試してみました。
・・・ええ、ボウル一杯分の桑の実を(300gくらい)、せこせこ、ちまちまと爪を紫にしながら半切りにして軸を取り除いてみました。普通は取るものではないので、こんなことするのは、よっぽどヒマでない限り特にお勧めはしませんが・・・。(あ、わたしはヒマだったのではなく、どうしても試してみたかったからです。念のため・・・。)
軸を取った実と、その半量くらいの砂糖(そのうち、2/3くらいははちみつに変えてみました)をひと晩くらい置いて、果汁が出てきたところで火にかけて煮詰めます。桑の実はあまりペクチンの含有量が高くないので、そのままだとジャムの「とろみ」がつきづらいので、製菓用に売っているペクチンを足したり、ペクチンの含有量が高い果物を足したりするといい様子。で、ここでは去年の夏から冷凍庫に残っていたグースベリーを適当に(ひとつかみくらい)入れてみました。グースベリーはペクチンの含有量が高いし、色が薄いしすぐ煮潰れるので出来上がりのジャムでは存在感はほとんどなし。さらに相当すっぱいので、ほとんど酸味のない桑の実の味を締めるのにもよかったと思います。
で、このジャムを使って、最後にもうひとつ。
アイスクリーム!ようやくアイスクリーム向きの季節になってきたので。今シーズン初です(いや、冬の間も作ってたな・・・)。
ジャムをマーブル状に(のつもりで)混ぜ込んだこのアイスクリーム、ベースになっているのは、びわ・・・の、種。桑の実のレシピを探していて気付いたのが、アーモンドと合わせたものが多いということでした。で、アーモンドと桑の実のアイスというレシピがあって、組み合わせにはひかれたものの、ちょっと面倒な作り方だったので、これをもうちょっと簡単にできないかなーと考えていたときに思い出したのが
先日の枇杷。びわの種がアーモンド系の、杏仁豆腐のような香りで、それで風味をつけたブランマンジェがとってもおいしかったので、それでアイスにすればいいではないか、というわけです。
ここ数年、こればかり作っている、はちみつで甘さをつけたシンプルなアイスクリームのレシピを応用して作成。
びわの種3~5個は茶色い皮を剥き、中の白い部分だけみじん切りに。生クリーム240mlくらい+牛乳大さじ2に刻んだ種を加えて沸騰寸前まで温め、火を止めてはちみつ大さじ2を入れてとかします。さまして冷蔵庫に入れてよく冷やしたら、濾して種を取り除きます(最後はよく押して液体分を最後まで絞り取る)。これをブレンダー(ミキサー)にガーっとかけてふわっとするまで泡立て、いったん冷凍庫へ。半分くらい固まってきたら再度ブレンダーにかけてなめらかにします。これを容器に入れたら、ジャムをスプーンでぽたぽたと落とし入れ、ナイフなどでぐるっと線を書くように混ぜてマーブル状にします(いじりすぎると完全に混ざってマーブルでなくなってしまうので注意)。再び冷凍庫に入れて固まれば完成。
ブレンダー→冷凍庫→ブレンダー、という部分は、アイスクリームメーカーがあればそれで作れると思います。わたしはないのでこの方法で。ちゃんとできます。
このアイス、適当に作ったのだけれど、とってもおいしかった!枇杷の種がないと作れないのが残念ですが(びわってまだ店に並んでるのでしょうか?)、うちは最後に残った1個を使ってもう1回作る予定。桑の実でなくてもほかのジャムでも作れると思います。
とまあ、1週間足らずの間に、桑の実を1kg以上(うちで摘んだ以外に産直でも買っているので、、)、せっせと消費したのでした。
草っぽいとか何とか言いながら、結構ぽくぽくとおやつに食べたりもしたので、あっという間になくなりました。
また摘みに行こうかー、なんて話してもいますが、でもそうこうしているうちに、いよいよ夏の果物が他にもどんどん出てくる時期なので、時間やら冷蔵庫やら胃袋の余裕を考えないといかんですね。